現代医学で痛みは治せるのか?②

また、こんな例もありました。
72 歳になるA子さんです。膝が痛むというので診てみると、確かに熱を持ち、炎症を起こしています。

話を聞くと、以前から膝の裏が痛かったので、病院で診てもらったそうです。

「これは老化現象です。リハビリを受けた方がいいでしょう。」
診察をした医師の判断は、“老化現象”。
さっそくA子さんは、リハビリ治療に通い始めました。

結果は、お話しした通り。患部は炎症を起こし、当院に来られた時には、歩くことさえままならない状態に症状は悪化してしまったのです。

どんなリハビリを受けたのか
聞いてみると、「えっ!」と驚く内容でした。

「痛い膝をぐいぐい引っ張っては、グルグル回すんです。その後に足に重りをつけられて、何度も運動をさせられました。」

膝の痛みは良くなるどころかどんどん悪化していきました。膝の横が腫れてきて、痛みは増すばかり。

結局、治療に通う以前より症状は悪化して、とうとう歩くことができなくなってしまったのです。

ずいぶん無茶をさせるものです。A子さんが72 歳という年齢であることを考えれば、とてもその年齢に見合った治療方法とはいえません。

私が診たところでは、確かに、膝の裏にある半腱、半膜様筋という筋肉が収縮を起こしていました。しかし、その収縮自体は大したことはなく、むしろ問題は、無理なリハビリによって炎症を起こしてしまったということです。

半腱、半膜様筋など足の筋肉の収縮は、そもそも腰のバランスのゆがみから起こります。

痛みは、“膝の裏”という局所に起こっていますが、治療を考える際には、筋肉の収縮を起こしている“元”に目を向けなくてはなりません。

その元が骨盤の歪みです。骨盤の歪みを治してしてやれば、必然的に両足にかかる力は“不均衡”から“均等”になり、膝の裏の痛みも解消されてきます。

ところがA子さんの場合は「老化」という言葉でその症状を捉えたにしては手荒なリハビリを受けさせられた上、膝の裏にだけ治療の焦点があてられてしまったために、結局、炎症を起こして症状を悪化させてしまったというわけです。

麻疹で薬を塗られてしまったお子さんの場合も、A子さんの例も、本来では考えられないほど極めて初歩的な診断の誤りといえます。

医者が病気を治す この認識は、ときに大いなる危険をはらんでいるのです。

もちろんこのような医者ばかりではなく、素晴らしいお医者さんも沢山いらっしゃるということは付け加えておきます。

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